巡礼にあたって必要なもの
白装束に菅笠、金剛杖。最近ではこのような本格的スタイルで巡礼する人は少なくなりました。それがいけないというわけではありませんが、巡礼の正装にもそれなりの理由があり、昔から守られてきたものです。
もともと、手甲脚絆に白装束を持ってめぐる巡礼の正装は、仏の前ではいっさい平等であるということを示すものでありました。また笈摺は背三幅仕立てにした半纏のことで、仏教でいう一光三尊をかたどったものといわれ、菅笠は旅人の象徴、金剛杖は弘法大師の分身で、身を守ってくれるという。仏門に帰依する気持ちを高めるためにも正装してみるのもいいことかも知れません。
白衣(はくえ)・笈摺(おいずる)白装束
俗世から離れて身を清め無垢な状態になることを意味します。死者が冥土に旅立つ棺の中に納めます。かつては巡礼道具を入れた「笈」を背負って巡礼しました。歩くたびに肩あたりが摺れるので背や肩を守るために白衣の上に「笈摺」を着ていましたが、今では白衣か笈摺のどちらかを着用しています。白装束は巡礼・遍路としての自覚にもなり、身を引き締めてくれます。
金剛杖(こんごうつえ)
杖はお大師様、観音様の分身で身を守ってくれるといわれています。上部に五つの梵字(キャ・カ・ラ・バ・ア)が記され宇宙を形成する地・水・火・風・空の五輪を表しています。また橋の上では杖をついてはいけません。端の下でお大師様が休んでいるかも知れないからです。
輪袈裟(わげさ)
僧侶の法衣を簡略化したもの。お偏路の正装です。身に着けることで、心の浄化、罪業の消滅、仏様の光が身に加わるとされています。
菅笠(すげかさ)
菅笠には「同行二人」と書きます。巡礼中の風雨や強い日差しを凌いでくれます。
※同行二人とは観音様・お大師様と二人連れという意味 |